GRANITE DELTA

MATERIALS — 素材

Choosing the Right Stone

石を選ぶということ

6分で読める By Granite Delta Studio
乾いた川床に横たわる花崗岩の巨石群
石材の産地で出会う、無数の表情を持つ花崗岩の巨石群。

一つの庭に使う石を選ぶ作業は、カタログを眺めて発注することとは似て非なるものだ。Granite Deltaでは、規模のある石組みを計画する際、必ず設計担当が産地の採石場や河原に足を運ぶ。写真や仕様書だけでは、石の本当の色合いも、手に持ったときの重さも、雨に濡れたときの表情も分からない。石は同じ産地であっても一つひとつ結晶の密度が異なり、同じ光の下でも青みがかって見えるものと、赤みを帯びて見えるものがある。庭全体の色調を決める最初の一歩は、この現地での「石との出会い」から始まる。

選定の基準は主に四つある。まず産地——同じ花崗岩でも採れる山によって石理の粗さや色味の傾向が異なる。次に硬度——水鉢や飛び石など人の手や足が直接触れる場所には、摩耗に強い緻密な石を選ぶ必要がある。三つ目は色合いで、これは周囲の植栽や建築の外壁との調和を考えながら、複数の候補を実際に庭の予定地に置いて数日観察することもある。そして最後に、意外に重要なのが苔のつきやすさだ。多孔質でわずかに湿気を含みやすい表面を持つ石は、数年後には美しい苔むした風合いへと育っていく。逆に表面が緻密すぎる石は、何年経っても苔がつかず、庭に「時間の重なり」が生まれにくい。

広大な岩原に点在する巨石の眺め
広大な岩原を歩きながら、庭に据える一石一石を吟味していく。

現地での選定は、一日で終わることは稀だ。朝は東の空からの光で石を見て、昼は真上からの光で色の均一さを確かめ、夕方には再び陰影のつき方を見直す。同じ石でも、光の角度によって別の石のように見えることがあるからだ。候補を絞り込んだあとは、実際に据える向きを想定しながら、石をわずかに回転させて最も表情豊かな面を「顔」として選び出す。この作業は数値化できるものではなく、長年の経験を積んだ庭師の目と勘に頼る部分が大きい。石を選ぶことは、単なる資材調達ではなく、これから何十年も庭に立ち続ける相手を選ぶことに近い。

「良い石は、探しに行くものではなく、出会うものだ。」

こうして選ばれた石は、産地を離れ、庭という新しい場所で第二の人生を歩み始める。据えられた瞬間はまだよそよそしいが、季節が巡り、雨が降り、苔がつき始めると、石は少しずつその庭に馴染んでいく。私たちが石を選ぶ旅に時間をかけるのは、この馴染んでいく過程までを設計の一部として捉えているからだ。良い庭とは、竣工した日にすべてが完成しているものではなく、選ばれた石が時間とともにその土地の一部になっていく庭のことなのだと思う。