箱根の温泉旅館を含む複合ホテル施設の中庭に、花崗岩の水路を巡らせるプロジェクト。宿泊客がロビーから客室棟、レストラン、大浴場へと移動する動線そのものを、水と共に歩く体験として再構築することが今回の主題である。
水路は幅30センチから90センチの間で変化し、歩く速度や場面に応じて水音の大きさと表情が変わるよう設計した。狭まった箇所では水がわずかに勢いを増し澄んだ音を立て、広がった箇所では水面が穏やかに凪ぎ、空や木々を映し出す。花崗岩は水路の底面と側面に用い、長年の使用にも耐える耐久性と、水に濡れることで深まる色合いの両方を活かしている。
夜間には、水路沿いに低い間接照明を仕込み、水面に反射する光が客室棟へと続く小径を静かに照らす。宿泊客はチェックインからチェックアウトまでの滞在の中で、繰り返し水路を渡り歩くことになる。この反復こそが、旅館という非日常の時間の輪郭をつくりだしている。
"A channel is both a guide and a keeper of stillness — sound leads, light leads."
水路は案内であると同時に、歩く人の心を整える装置でもある。音が導き、光が導く。
— プロジェクトリード、Granite Delta