世田谷の高台に建つ邸宅において、建築全体を包み込むように広がる庭園の設計を手掛けた。敷地は緩やかな傾斜を持ち、南側には都心を望む眺望が開けている。今回の計画では、建築家との協働のもと、建物単体ではなく敷地全体を一つのランドスケープとして捉え、地形そのものを庭のデザイン言語として扱うことを出発点とした。
造成にあたっては、既存の地形の起伏を大きく削ることなく、等高線に沿うように石組みと植栽帯を配置した。花崗岩の巨石は、単体の彫刻としてではなく、地形の延長として据えられている。俯瞰、すなわち上空から見た際に浮かび上がる石組みの構成美を強く意識し、屋上テラスやバルコニーから庭を見下ろした際にも、力強い構図が成立するよう設計した。
庭の各所には、異なる高さから眺めることを前提とした「複数の視点」が組み込まれている。地上を歩くときには石の質感と足元の音が主役となり、二階のバルコニーからは石組み全体の幾何学的な配置が浮かび上がる。この重層的な鑑賞体験こそ、邸宅という住まいの庭にふさわしいスケール感だと考えている。
"A garden is seen from every height of the house it surrounds."
庭は地面の上だけでなく、建物のあらゆる高さから見られている。石組みは、その全ての視点に応える構成でなければならない。
— シニアランドスケープデザイナー、Granite Delta